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【エルサレム】催涙ガスの被弾とバーベキュー【海外トラブル】

abroad-trouble-jerusalem危険情報・トラブル集

私たちが長期旅行中にエルサレムを訪れ、ある宿に滞在していた時のことを書いています。

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エルサレムについて

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パレスチナという土地には、大きく分けて第二次世界大戦後にユダヤ人のつくった国『イスラエル』と昔からアラブ人が住み続けている『パレスチナ自治区』があります。

130以上の国がパレスチナは国だと認めていますが、日本人が「パレスチナ国」ではなく、「パレスチナ自治区」と呼ぶのは、日本政府が国として承認していないからです。

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そのパレスチナという土地のなかにあるエルサレムは、イスラエルとパレスチナ自治区の両方が領有権を主張している場所です。
日本人は、エルサレムといえばイスラエルとだいう認識のある人も多いかと思いますが、国によってはパレスチナ自治区側の土地だと言う人もいます。
私も実際にここを訪れるまで、エルサレムはイスラエルだと認識していました。

しかし実際には、現在もエルサレムに住んでいるのはユダヤ人(イスラエル人)だけではなく、アラブ人(パレスチナ人)も多く住んでいます。

オリーブ山について

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私たちがエルサレムを訪れた時に滞在したエリアは、郊外のオリーブ山です。
オリーブ山は、イエスキリストが昇天したという場所でもあり、パレスチナ人が多く住むエリアです。

そこに私たちが滞在させて頂いた民家があります。
平和活動家として有名なパレスチナ人お爺さんの家です。
今でいう民泊ですがインターネットで予約できるわけではなく、飛び込みで訪問して空き状況を確認します。

ちなみに私たちがエルサレムに到着したその日、間が悪い事にイスラエルがパレスチナ自治区のガザ地区を攻撃したという物騒な情報が入ってきました。

それでも私たちがエルサレムに滞在していた3日間は、世界中から多くの観光客が訪れており、いたって平穏で危ない雰囲気は感じられませんでした。

流れ催涙弾に被弾

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ヨルダンから陸路でエルサレムに到着した夜、滞在していた宿の前で突然、爆竹のような大きな音が鳴り響きました。
何事かと思い、宿の屋上へ出たところ、宿の目の前の道が燃え上がっていたのです。

そして、何やら武装した団体と若者たちが争っていました。
よく見るとイスラエル軍とパレスチナ人の若者です。
人数は定かではありませんでしたが、相当数がいました。

イスラエル軍の方から流れ星のように光るものが飛んでいき、パレスチナ人が逃げていきます。

しばらくしてから気付いたのですが、どうやらその流れ星のようなものはゴム弾でした。
弾道が速すぎて光って見えるのです。

室内にも響いていた「パンパンパン!」という音はこのゴム弾だった様です。
それに応戦してパレスチナ人の若者が投げた火炎瓶によって道が燃え上がっていました。

目の前で繰り広げられる光景があまりにも衝撃的でしばらく見入っていると、宿の住み込みスタッフが「いつものことだよ。気をつけて。」と言って宿の中に戻っていきました。

そんな時にふと気付いたのですが、私たちがいる建物の隣にある民家の屋上で、
家族揃ってバーベキューをしていました。

目の前でドンパチやってるなかで、家族団らんなんて想像できますか?

勿論、今の日本で生きている私たちには考えられない事だと思います。
でもここではそれが日常であり、皆もう慣れっこなのでしょう。

以前、リビアで実際に起きたアメリカ大使館襲撃事件の映画『13時間 ベンガジの秘密の兵士』を見た事があるのですが、そのなかで元ネイビーシールドの傭兵らが夜間に宿の屋上で銃撃に応戦するシーンがあります。

暗闇のなかで激しい銃撃戦となり、精神的に追い詰められているなかで、ふと隣家の庭を見ると、おじさんがテレビでサッカーを見ながら「ハロー」と挨拶をしてきたのです。

それを見て愕然としたアメリカ人傭兵らが「ハローだと…これは現実か?それとも夢なのか?」と言います。

その映画を見た時にこのエルサレムでの出来事を思い出しました。

争いが身近にある地域では、銃撃ぐらいは日常の一部であり、いちいち驚いていられないのかもしれません。

その後、しばらく宿の屋上から目の前の争いに見入っていたとき、その場にいた全員が突然目鼻を押さえてもがき始めました。
イスラエル軍が誤って催涙弾を撃ち込んできたのです。
暗闇だったのでどの辺りに着弾したかは確認できませんでしたが、私たちも目鼻に激痛が走りました。

スタッフが「早く入れ!」と叫んでいる声が聞こえ、建物内に入りましたが、窓を開けていたので中まで煙が入ってきてしまいました。
運よく1室だけ煙が入っていない部屋があり、宿泊者の大半がそこに1時間ほど退避させてもらうことに。

人間は慣れてしまう

結局、私はその宿に3日間滞在したのですが、毎晩同じことが行われていました。
不思議なことに1日目よりも2日目は少し驚かなくなり、そして3日目には私たちでも慣れてくるのです。
初日には衝撃的だった事がわずか3日で慣れてしまうなんて不思議なものです。

こうやって戦争の最中にいる人達は段々と感覚が麻痺に近い状態となり、何とも思わなくなってくるのかもしれません。
これが戦争に従軍する兵士なら、いつの間にか死体を見る事さえ慣れてしまうのかも。

太平洋戦争に従軍し、戦場のなかでも最前線で戦ったアメリカ人が書いた『ペリリュー・沖縄戦記』に同じような事が書かれていました。
「初めて敵兵の死体を見た時はとてもショックだったが、途中から何も思わなくなった」という事に触れています。

ちなみにこの戦記は、一方的に敵が悪いというようなアメリカファーストな内容ではなく、戦争がいかに無残なもので無利益なのかをとても現実味のある内容で書かれています。
戦場の最前線で一体何が起こっているのかが一つ一つが生々しく綴られており、とても衝撃的な内容でした。

敵国は日本なので、かなり複雑な気持ちで読みましたが、この作品は読んでよかったです。
日本人だけでなく、世界中の人に読んでほしい作品です。
この戦記を基に作られた『ザ・パシフィック』という映画もあります。

ちょっと話しは逸れましたが、いつか世界に争いが無くなる日はくるのでしょうか。

 

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